山都そばについて

山都そばには、新そば以外にも冬に積もった雪で保存した雪室そばや、冬期間に寒い時期に沢の水に晒した寒ざらしそばを楽しむことが出来ます。

そばの雪室貯蔵 

雪室とは、冬期間に降り積もった高密度の雪をロータリー除雪車によって約500トン投入し、送風機ににより雪の冷温で低温貯蔵する施設です。

冷蔵庫でそばの実を貯槽した場合には、低温で貯蔵できますがそばの実が乾燥して劣化してしまいます。
冷蔵庫に比べ雪室で貯蔵した場合には、雪の水分で室内の温度は約5度湿度約70%に保たれ、梅雨時期の高湿度や夏場の高温による変質を抑えられ、年間を通して収穫時期のそばに近い本来の風味が保たれます。

雪室 外観
雪室 外観
雪室内
雪室内
雪室内
雪室内

雪室のシステムと各室の働き

各室の天井・床・壁は断熱材で覆われており、中の温度湿度を一定に保つことが可能。
雪室内には、空気を循環させるための配管が施されており、貯雪室の雪を通り冷やされ各室を周り、また貯雪室を通り冷やされる。

雪室各室の働き
そば貯蔵室
気温5度の適切な気温で、そばを貯蔵するための室(むろ)
低温貯蔵室
気温0度で、そばの他に野菜等を貯蔵と研究をするための室
貯雪室
貯蔵室を低温に保つための冷厳である雪を貯蔵するための室
温度調整室
低温下で貯蔵されていた農作物は、急激に外気に触れると表面が結露するため、外気を遮断し、徐々に室温を上げて調節するための室
前室
貯蔵室に出入りする際に冷気を逃さないための室

寒晒しそば 

そばの寒晒し風景

会津・山都には、江戸時代 徳川将軍家に献上されていた贅沢なそばがあります。それが寒ざらしそばです。
寒ざらしそばは最も寒さの厳しい大寒の頃に、アッタ坂から湧き出している極寒の「アッタ坂の清水」にそばの実を10日程浸します。その後引き上げ、さらに20日ほど寒風に晒して自然乾燥させます。
このそばの実を製粉して打ったそばが山都の「寒ざらしそば」です。茹で上げたそばは、真っ白で弾けるようなすばらしい食感そばです。


アッタ坂の清水
アッタ坂の清水
寒ざらし前のご祈祷
寒ざらし前のご祈祷
寒ざらし前のご祈祷
寒ざらし前のご祈祷
そばの実を清水にさらす
そばの実を清水にさらす
雪中にそばの実を埋める
雪中にそばの実を埋める

寒晒しそばの特徴とは

凍る寸前の冷たい清流に浸すことによって、玄ソバ自らが凍死しないようにと成分を「不凍液」に変えます。
この不凍液こそ旨みの成分となるアミノ酸なのです。
寒晒しそばは以下のような特性を持っていることが、信州大学農学部の井上直人教授によって科学的に解析されております。

寒晒しさらしなそば
  1. デンプンの消化速度が高く、腹持ちがよい
  2. ストレス緩和作用があり、幸せな気持ちになる
  3. 水溶性のタンパク質が流出することで、雑味がなく、すっきりとした味になる
  4. デンプンの質的変化により、シコシコ、モチモチとした食感が出る

(リベラルタイム出版社刊「蕎麦春秋」第五巻より参照)